『展覧会の絵』はムソルグスキーが彼の友人であったヴィクトル・ガルトマン(または、ヴィクトル・ハルトマン)の遺作展を歩きながら、そこで見た10枚の絵の印象を音楽に仕立てたものです。
◆曲の構成
第1プロムナード
小人(グノーム)
第2プロムナード
古城
第3プロムナード
テュイルリーの庭
ビドロ
第4プロムナード
卵の殻をつけた雛の踊り
サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ
第5プロムナード
リモージュの市場
カタコンベ - 死者とともに死者の言葉で
バーバ・ヤーガの小屋
キエフの大門
『プロムナード』という短い前奏曲あるいは間奏曲が、誰もが聴いたことがある、というほどのよく使われるメロディーです。このプロムナードはムソルグスキー自身の歩く姿を表現しているといわれています。
ムソルグスキーは建築家であり画家でもあるヴィクトル・ガルトマンと交友を結んでいましたが、ガルトマンは動脈瘤が原因で急死してしまいました。ムソルグスキーの落胆は大きく、ガルトマンの体の異常に気づきながら友人としてなすべきことをしていなかったのではないかと、自責の念にもかられてしまいます。
そのガルトマンの遺作展が1874年の2月から3月にかけて、母校であったペテルブルク美術アカデミーにおいて400点の遺作を集めて大々的に開催されました。その展覧会から半年後の1874年7月4日、ムソルグスキーは『展覧会の絵』を作曲。作曲作業の遅いムソルグスキーにしては珍しく、わずか2〜3週間程で一挙に作曲されたと言われています。
もともとはピアノ単独曲で、その楽譜もリムスキー=コルサコフによって大きく手直しされたことから、『リムスキー=コルサコフ版』とよく呼ばれています。さらにラヴェルによって管弦楽への編曲もされ、現在ではそのバージョンが最も聴かれることの多いものになりました。